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企業が知っておくべきSNSのリスク管理と炎上対策

昨今のSNSの普及に伴い、マーケティングやブランディング活動の幅は大きく広がりました。
ビジネスの成長に必要不可欠なSNSですが、利用にはリスクも伴います。
本記事では、企業が直面するSNSリスクや炎上の原因、その対策について詳しく解説します。

目次
  1. SNSを活用する企業が直面するリスクとは?
    1. 炎上のリスク:一度のミスが企業の評判に与える影響
    2. 情報漏洩のリスク:内部情報の不適切な共有
    3. 法的リスク:SNSでの発言が引き起こす法的トラブル
  2. SNS炎上の原因となる典型的なケーススタディ
    1. 企業の不適切な発言や行動
    2. 顧客対応の失敗とその結果
    3. 外部からの攻撃:ハッキングやフェイクニュース
  3. 企業が行うべき炎上リスクの予防策
    1. SNSポリシーの策定と従業員への教育
    2. リアルタイムのモニタリング体制の構築
    3. 危機管理マニュアルの整備
  4. 企業SNSの炎上事例
    1. ケース1: 大手旅行代理店のSNSトラブル
    2. ケース2: 紳士服ブランドのSNS炎上
    3. ケース3: 生理用品のSNSキャンペーンの失敗
  5. 万が一炎上が発生した場合の対応策
    1. 初期対応:迅速かつ正確な情報発信
    2. 謝罪と訂正のタイミングと方法
    3. 事後のフォローアップと信頼回復のための戦略
  6. SNSにおける炎上リスクに関するよくある質問
    1. 炎上した場合、すぐにSNSアカウントを削除すべきですか?
    2. どのような投稿が法的リスクを引き起こす可能性がありますか?
    3. 小規模な企業でも炎上リスクは高いのでしょうか?
  7. まとめ:企業がSNSリスクを管理するための重要なポイント
    1. 予防と対応の両方を徹底することの重要性
    2. 継続的なモニタリングと社員教育の必要性
    3. リスク管理を通じた企業ブランドの強化

SNSを活用する企業が直面するリスクとは?

SNSを活用する企業が直面するリスクとは?

SNSを使ったマーケティングは効果的な手段ですが、その一方でリスクや危険も潜んでいます。

企業はリスク管理ができていないと、無意識のうちに重大な問題を引き起こす可能性があるのです。

まずは、SNSを利用する企業が最低限知っておかなければならないリスクについて見ていきましょう。

炎上のリスク:一度のミスが企業の評判に与える影響

SNSにおける「炎上」とは、企業や個人の投稿が突如として大量の批判や反感を集める現象のことを指します。

たとえ些細なミスであっても瞬く間に情報が拡散され、企業の評判に致命的なダメージを与えます。

企業の場合は特に、一度炎上してしまうとその影響は長期間にわたって続きます。

収束した後も消費者や取引先からの信頼回復には時間がかかるため、最悪の場合は倒産に追い込まれてしまいます。

情報漏洩のリスク:内部情報の不適切な共有

SNSにはリアルタイムで容易に情報発信ができるという大きなメリットがありますが、同時に内部情報が漏洩するリスクも伴います。

従業員が意図せずに機密情報や顧客情報を公開してしまうリスクを0にすることは、不可能に近いと言えるでしょう。

このような情報漏洩事件が発生すると、企業は顧客や取引先からの信頼を失うだけでなく、法的な責任を追及される可能性もあります。

そのため最近では、このような情報漏洩を未然に防ぐため、SNSの使い方に関する従業員教育プログラムを導入する企業も増えています。

法的リスク:SNSでの発言が引き起こす法的トラブル

SNSでの何気ない発言が、時として法的トラブルを引き起こすことがあります。

たとえば競合他社の名指し批判、ステルスマーケティング、事実に基づかない情報の拡散をした場合、名誉毀損(きそん)や不正競争防止法違反として訴えられる可能性は決して低くないということです。

また、インターネット上の画像やデザインを無断で使用すれば、著作権や商標権を侵害することになります。

これらのリスクを軽視して高額な損害賠償を求められることのないよう、十分に注意しましょう。

SNS炎上の原因となる典型的なケーススタディ

SNS炎上の原因となる典型的なケーススタディ

SNSでの炎上は多くの場合、予想外の出来事やちょっとしたミスによって引き起こされます。

ここからは、SNSで炎上するときの典型的なケーススタディと共に、炎上する原因について解説します。

企業の不適切な発言や行動

企業がSNS上で不適切な内容を発信すると、個人の発信以上に激しい批判を受けます。

例えば、差別的な発言やステレオタイプ、社会問題に対する軽率なコメントは、多くのユーザーからの反感を買います。

特に炎上しやすいジャンルの投稿内容は、以下の通りです。

  • 男女の性差(ジェンダー)
  • 容姿について
  • あるべき家族像
  • 男らしさ・女らしさなどのステレオタイプ
  • 性的嗜好(LGBTQ)
  • 政治・宗教
  • 地域格差
  • 障がい者・外国人に対する差別意識 など

こうした発言は、たとえ商品やサービスに直接関係がない内容でも、企業のブランドイメージを傷つけます。

顧客離れを引き起こさないためにも、企業アカウントから発信を行う際は影響力のあるメディアであるという自覚を持って発言するようにしましょう。

顧客対応の失敗とその結果

顧客からのクレームに対する不適切な対応が原因で、炎上が発生するケースです。

SNS上で投稿された顧客の苦情に対する企業の対応が十分ではないと、他のユーザーから批判が集中することがあります。

このように、顧客対応の仕方を間違えると顧客満足度が一気に低下します。

商品やサービスに対する信頼も損ないかねないので、SNS上での顧客対応は慎重に行うようにしましょう。

外部からの攻撃:ハッキングやフェイクニュース

企業のアカウントがハッキングされ、不正な情報やフェイクニュースが拡散されたりするケースです。

身近で起きるトラブルとは思えない人も多いと思いますが、外部からの攻撃により企業のSNSが炎上するということも起こりえます。

万が一このような攻撃を受けたときは、迅速かつ適切な対応ができるよう、日頃から対策を考えておくことをおすすめします。

企業が行うべき炎上リスクの予防策

企業が行うべき炎上リスクの予防策

SNSの炎上を未然に防ぐためには、企業側が事前にしっかりとした予防策を準備しておくことがとても重要です。

ここからは、企業が取り組むべき主な予防策を3つ紹介します。

SNSポリシーの策定と従業員への教育

SNSでの炎上リスクを低減させる最も基本的な対策は、SNSポリシーを策定し実施することです。

SNSポリシーを適切に運用するためには、SNS上での発言内容やプライバシー保護、情報管理のルールなどを明確に記載し、全従業員が正しく理解することが大切です。

そして、こういったポリシーは一度決めればいいというものではなく、定期的な見直しが必要です。

従業員研修やワークショップに関しても定期的に行い、従業員の意識向上を図りましょう。

リアルタイムのモニタリング体制の構築

ここで言うモニタリングとは、SNS上のあらゆる投稿をリアルタイムで観察し記録することです。

SNS上の動きをリアルタイムで把握するモニタリング体制を構築することも、効果的な予防策の一つと言えるでしょう。

例えば、ソーシャルリスニングツールを利用すれば、企業に関連するキーワードやハッシュタグを常時監視することが可能になります。

このようなツールやサービスをうまく活用し、炎上が拡大する前に適切な対処を行う準備をしておきましょう。

危機管理マニュアルの整備

万が一、炎上が発生した場合に備えて、危機管理マニュアルを整備しておくことも必要な対策です。

このマニュアルには、炎上した際の対応手順や責任者、外部への情報発信方法などを明確に記載しておきましょう。

そして、定期的にシミュレーションを行い、実際に炎上したときに迅速かつ的確に対応できるよう体制を整えておくことも大切です。

企業SNSの炎上事例

企業SNSの炎上事例

過去にはさまざまな企業がSNSでの炎上を経験しているため、それぞれの事例から多くのことが学べます。

この章では、実際に炎上した事例をもとに、炎上した原因とそこから学べることについて考察します。

ケース1: 大手旅行代理店のSNSトラブル

2015年、ある大手旅行代理店の公式X(旧Twitter)アカウントから、特定のタレントに対して「ぶさいく」という内容のリプライが投稿されました。

この投稿はすぐに削除されましたが、多くのユーザーから非難が殺到し、公式アカウントから本人に謝罪する事態となったのです。

なぜこのようなリプライがされたのかについては公表されていませんが、SNS担当者がプライベートのアカウントと間違えて投稿した可能性が高いとされています。

このことから、個人のスマートフォンを使ってSNS運用を行うことは、とてもリスクが大きいことがわかります。

また、SNSへの直接投稿はせず、SNS運用ツールなどを導入して第三者のチェックを受けるフローを作るのも有効な手段です。

参考:https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1509/18/news128.html

ケース2: 紳士服ブランドのSNS炎上

2020年、ある紳士服ブランドがSNS上で「透けハラあるある」を募集するキャンペーンを打ち出しました。

このキャンペーン内容が一部のユーザーに対して差別的であると、多くの批判が寄せられたのです。

ブランド側はすぐにキャンペーンを中止し、謝罪文を発表しましたが、一時的な売上の減少とブランドイメージの悪化を招きました。

おそらくブランド側は、自社ブランドに透けづらいシャツがあるということを広めたかっただけで、差別的な感情など全くなかったと思います。

良かれと思って打ち出したマーケティング施策が、予期せぬ形で炎上してしまったのでしょう。

このケースは、SNSキャンペーンの企画段階で慎重な検討が必要であることを教えてくれます。

尖った表現や内容を含めた発信をする場合は特に、傷つく人がいないかを想像することが重要です。

参考:https://www.j-cast.com/2020/06/26388867.html?p=all

ケース3: 生理用品のSNSキャンペーンの失敗

2017年、ある生理用品メーカーが20代女性向けメディアで「彼女の生理中、困ることを彼氏に聞く」というコンセプトの動画を公開しました。

20代女性向けメディアで公開された当初、この動画は好評でした。

メディアのターゲットである美容感度の高い20代女性にとっては、違和感のない内容だったのでしょう。

しかし異なる属性のユーザーからも閲覧されるようになると、徐々に批判の声が広がり炎上に発展したのです。

このケースでは、WEBメディアの「誰にでも見られる」というメリットが、ときにはリスクになるということを証明しています。

リスク管理においては、ターゲットとなるユーザーだけでなくあらゆる属性のユーザーの視点に立ってチェックする必要があるということです。

参考:https://bizgate.nikkei.com/article/DGXZZO3789141017112018000001

万が一炎上が発生した場合の対応策

万が一炎上が発生した場合の対応策

どれだけ万全の策を講じていても、予期せず炎上は発生してしまいます。

SNSで炎上したときは、とにかく迅速な対応が必要です。

ここから、炎上が発生したときの効果的な対応策を「初期対応」「謝罪と訂正」「信頼回復」の3パートに分けて解説します。

初期対応:迅速かつ正確な情報発信

炎上が発生した際に重要なのは、初期対応のスピードです。

初期対応が遅れると炎上がさらに拡大し、手に負えない事態にまで進展してしまうためです。

特に、事実に基づかない情報が拡散されている場合には、少しでも早く公式声明を出して誤解を解く必要があります。

とはいえ、正確な情報を発信することが一番大切です。

事実確認ができていないまま慌てて謝罪したり投稿を削除したりすると、さらなるトラブルに発展しかねません。

必ず正しい情報を揃えた上で、冷静に対応策を検討するようにしましょう。

謝罪と訂正のタイミングと方法

炎上の原因が明らかに企業側のミスや不適切な発言であった場合、速やかに謝罪と訂正をする必要があります。

ただし、謝罪のタイミングややり方には細心の注意が必要です。

曖昧な謝罪を行ったり、タイミングが遅くなったりすると、ユーザーの反感をさらに買う可能性があるためです。

謝罪する方針を固めたら誠意を持って謝罪を行い、被害の拡大防止に努めてください。

事後のフォローアップと信頼回復のための戦略

炎上が収束した後も、信頼を回復させるため企業は継続的なフォローアップを行う必要があります。

具体的な戦略は次の通りです。

  • 具体的な改善策を公表する
  • 顧客からの質問や批判に対して誠実に対応する
  • イメージ回復のための宣伝を行う

炎上を発生させてしまったときは、謝罪だけで終わらせてはいけません。

顧客とのコミュニケーションを強化し誠意を示し続けることで、顧客からの信頼を取り戻してください。

SNSにおける炎上リスクに関するよくある質問

SNSにおける炎上リスクに関するよくある質問

SNSの炎上に関して、さまざまな不安や疑問を抱えている企業も多いと思います。

そこで、よくある質問とその回答をまとめました。

ぜひ企業のリスク管理のご参考にしてください。

炎上した場合、すぐにSNSアカウントを削除すべきですか?

炎上したときにSNSのアカウントごと削除するのは、一見効果的な対策に思えるかもしれません。

しかしながら、あまりおすすめはできません。

たとえアカウントを削除したとしても、問題が解決するわけではないからです。

それどころか「逃げた」と見なされ、批判がさらに強まる可能性さえも考えられます。

炎上が発生したら、基本はアカウントを維持しつつ、問題解決に向けた姿勢を示しましょう。

どのような投稿が法的リスクを引き起こす可能性がありますか?

法的なリスクを引き起こす可能性があるのは、誤った情報を拡散することや、他社や個人を中傷する内容が含まれる投稿です。

具体的には、名誉毀損(きそん)、プライバシー侵害、著作権侵害などが挙げられます。

ここで注意したいのが、投稿した側に悪気がなくても法的な責任を追求される場合があるということです。

つまり、SNSでの発言には責任が伴います。

企業アカウントの場合は、なおさらその責任は大きくなります。

企業がSNS投稿をする際は、一人で判断せず第三者の視点で内容の正確性や適法性を慎重に確認することがとても大切です。

小規模な企業でも炎上リスクは高いのでしょうか?

規模の大きさにかかわらず、SNSを利用するすべての企業に炎上リスクは存在します。

特に小規模な企業は人員や資金などのリソースが限られているため、炎上しても迅速な対応ができず炎上がさらに拡大するというリスクがあります。

小規模な企業であっても、SNSを利用する限りはできる限りのリスク対策をしておきましょう。

まとめ:企業がSNSリスクを管理するための重要なポイント

まとめ:企業がSNSリスクを管理するための重要なポイント

SNSを活用する企業にとって、炎上のリスクは避けて通れない課題です。

SNSの炎上リスクを最小限に抑えるためにも、この記事で紹介したポイントを意識して正しいリスク管理を行いましょう。

ポイントは以下の通りです。

予防と対応の両方を徹底することの重要性

リスクを未然に防ぐためには、予防策と対応策の両方を準備しておくことが大切です。

まずは、炎上が発生しないよう日頃からリスク管理を徹底してください。

同時に、万が一の炎上に備えて対策を準備し、迅速に対応できる体制を整えておきましょう。

継続的なモニタリングと社員教育の必要性

SNSの動向は常に変化しており、日々新たなリスクが出現しています。

最新のリスクにも対応できるようにするためには、継続的なモニタリングと社員教育が必要です。

リスク管理は、一度きりの対策では不十分です。

日常的に見直しと改善を行うものとして、認識しておきましょう。

リスク管理を通じた企業ブランドの強化

ここまでは、企業が知っておくべきSNSのリスク管理と炎上対策について解説しました。

SNSを安全に活用するためのリスク管理ですが、実は企業ブランドの強化にも繋がります。

リスクを予防し、トラブルが発生した際に迅速かつ誠実な対応を行えば、顧客からの信頼を得ることができます。

ぜひこういったリスク管理を継続することにより、ブランド価値を高めて持続的な企業成長と成功を目指してください。

ナウラメモ

「SNSリスクマネジメント検定」を習得

弊社では、効果的かつ安全なSNS活用の知識・運用方法や、SNSの炎上のメカニズム、予防策・対応策などを習得するための検定プログラムである、「SNSリスクマネジメント検定」を習得しています。