縦型ショート動画の基本と活用法

スマートフォンを縦にした状態で視聴する、短く手軽な動画コンテンツのことを「縦型ショート動画」と言います。
近年、Instagramのリール、YouTubeショート、TikTokといったプラットフォームの普及により、手軽に動画を作成・共有でき、短い時間で多くの情報を届けられることから、若者を中心に大きな人気を集めています。
特にTikTokでは、人気の動画を真似して撮影・投稿する文化があり、視聴者を巻き込んだトレンドを生み出しやすくなっています。
現代の忙しい生活の中で、通勤中や休憩時間などのちょっとした隙間時間に視聴できるため、ユーザーにとって受け入れやすいコンテンツ形式となっています。

このように、縦型ショート動画は、スマートフォン時代に最適化された新しい動画形式として、情報発信やマーケティングの重要なツールとなっており、今後もさらなる普及が期待されています。

縦型ショート動画の歴史

縦型ショート動画の起源は、Vine（ヴァイン）というスマートフォン向けの動画共有サービスに遡ります。
Vineは短い動画の作成・共有に特化したサービスとして人気を集めましたが、2017年にサービスを終了しました。
その後、TikTokやInstagramリールが台頭し、縦型ショート動画はさらに大きなトレンドとなりました。

縦型ショート動画の需要

なぜ、縦型ショート動画がこれほどまでに注目されているのでしょうか。

それは、スマートフォンが普及し、人々がいつでもどこでも手軽に動画を視聴できるようになったこと、各プラットフォームが視聴者の興味関心に基づいた動画を積極的に推奨するアルゴリズムを採用していること、そして短い時間で手軽に楽しめるエンターテイメントを求めるニーズの高まりなどが、その背景にあります。

特に、若い世代を中心に、トレンドに敏感で、短い時間で多くの情報を得たいという傾向が強まっているため、縦型ショート動画は彼らのニーズに合致し、普及しました。

縦型ショート動画コンテンツの視聴が増加する中、広告主企業による縦型動画を使ったコミュニケーションの需要が急速に高まっています。
2023年の縦型動画広告市場は前年から156.3％増加し、526億円に達しました。
この成長は今後も続くと予測されており、2027年には市場規模が1,942億円に達すると見込まれています。

縦型ショート動画は、単に動画を見るだけでなく、ユーザーが自らも動画を作成し、他のユーザーと交流できるような、双方向性の強いコンテンツです。
主な特徴について解説します。

動画の尺と表示画面の大きさ

視聴者の短いスキマ時間を有効活用できるよう、数秒から数分程度の短い尺で構成されています。
TikTok、Instagramリール、YouTubeショートなど、プラットフォームによって投稿可能な動画の長さが異なりますが、いずれも短尺である点が共通しています。
短い尺であるため、視聴者の集中力を切らさずに最後まで見てもらうことができます。

また、横型動画に比べて、より多くの情報を画面に収めることができ、視覚的なインパクトが強くなります。
スマートフォンでの視聴を前提としているため、片手で手軽に視聴できる点も、縦型ショート動画が普及した理由でしょう。

ユーザー参加型の仕掛け

縦型ショート動画では、ただ動画を見るだけでなく、視聴者が自ら動画を作り、楽しんだり、他のユーザーと交流したりするような仕掛けが多く見られます。

例えば、ある特定の曲に合わせてダンスをする動画を投稿し、他のユーザーにも同じように踊って動画を投稿してもらう、といったようなものです。
動画を見るだけでなく、自らも動画を作り、他のユーザーとつながりを持つことができます。

このようなユーザー参加型の仕掛けは、動画を単なる視聴コンテンツから、ユーザー同士が交流できるコミュニティへと変える力を持っています。

SNSプラットフォームごとの比較

どのプラットフォームを選ぶかは、ターゲット層、コンテンツの性質、企業のブランドイメージによって異なります。

例えば、若年層にアピールしたい場合はTikTok、視覚的な美しさを重視したい場合はInstagramリールといったように、それぞれのプラットフォームの特徴を理解し、自社の目標に合ったプラットフォームを選択することが重要です。
プラットフォームごとにどのような違いがあるのか比較してみましょう。

TikTok

TikTok は、若年層を中心に人気が高く、音楽やダンス、コメディなどエンタメ性の高いコンテンツが特徴です。
トレンドの音楽やハッシュタグを活用したチャレンジ動画や、個性的なキャラクターの動画などが人気を集めています。
企業は、ブランドの世界観を表現したショートムービーやインフルエンサーとのコラボレーションを通じて、若年層へのアプローチを図ることができます。

YouTubeショート

YouTubeショート は、YouTubeの既存のユーザー層に加え、若い世代にも人気です。
ハウツー動画やゲーム実況など、幅広いジャンルのコンテンツが投稿されています。
YouTubeチャンネルとの連携を強化することで、既存の視聴者をショート動画にも誘導することができます。
企業は、新商品の紹介やチャンネル登録を促すショート動画などを活用することで、YouTube全体の視聴回数を増やすことができます。

Instagramリール

Instagramリール は、Instagramのユーザー層と共通し、ファッションや美容、ライフスタイルなど、視覚的に美しいコンテンツが人気です。
Instagramのフィードとの連携を強化することで、統一感のあるブランドイメージを作り上げることができます。
企業は、新商品のビジュアル重視の動画やブランドストーリーの動画などを活用することで、ユーザーの購買意欲を高めることができます。

LINE VOOM

LINE VOOM は、LINEのユーザー層と共通し、身近な生活に役立つ情報や、友人とのコミュニケーションを円滑にするためのコンテンツが人気です。
LINEの友だちとのコミュニケーションを深めることで、顧客との関係性を強化することができます。
企業は、新商品の紹介やイベント告知動画などを活用することで、地域密着型のマーケティングに活用できます。

成功する縦型ショート動画を作成するためには、クリエイティブの制作、投稿のタイミングと頻度、そして視聴者とのエンゲージメントを高める方法の3つの要素が重要です。

クリエイティブの制作方法

クリエイティブの制作においては、まず、ターゲットとする視聴者を明確にすることが大切です。
年齢、性別、興味関心など、具体的なペルソナを設定することで、より共感を得られるコンテンツを制作できます。

次に、短い時間で視聴者の目を引くような工夫が必要です。
キャッチーな音楽や効果音、テロップなどを効果的に活用し、視覚的に訴求力のある動画を作りましょう。
情報は簡潔にまとめ、シンプルで分かりやすい構成にすることで、視聴者にストレスなく内容を理解してもらえます。

さらに、トレンドを取り入れることで、共感を呼びやすく拡散力も高まります。
動画の最後には、視聴者に何をしてほしいのかを明確に伝える「Call to Action」を入れることで、エンゲージメントを高めることができます。

投稿タイミングと頻度

投稿のタイミングと頻度も、動画の成功を左右する重要な要素です。
各プラットフォームには、ユーザーが最もアクティブになる時間帯があります。
その時間帯に投稿することで、多くのユーザーに動画を見てもらうことができます。
競合他社の投稿頻度や時間帯を参考に、自社の投稿スケジュールを立てましょう。

さらに、視聴者の反応を見ながら、投稿頻度や時間帯を調整していくことも大切です。
イベントやキャンペーンに合わせて投稿することで、より多くのユーザーにリーチすることができるでしょう。

エンゲージメントを高める方法

エンゲージメントを高めるためには、視聴者とのコミュニケーションが不可欠です。
視聴者のコメントに返信したり、質問を投げかけたりと、積極的にコミュニケーションを取っていきましょう。
他のクリエイターとのコラボレーションを通じて、新たな視聴者層を獲得することも効果的です。
ライブ配信を行い、リアルタイムで視聴者とコミュニケーションを取ることで、親近感を高めることもできます。

また、アンケートなどを活用して、視聴者の意見を収集し、今後のコンテンツ制作に活かすことも重要です。

企業アカウントの運用は、ブランドイメージの向上や商品・サービスの認知度を高める上で非常に有効です。
縦型ショート動画を活用することで、より多くのユーザーにリーチし、エンゲージメントを高めることができます。

①インターコスメ｜Instagramリール

https://www.instagram.com/reel/CvpBQI4pIIe/

美容メーカーのインターコスメは、縦型ショート動画を活用して効果的な商品プロモーションを行っています。

成功のポイントは、単に商品を紹介するだけでなく、視聴者が本当に知りたい情報を提供していること。
サラサラでツヤのある髪を作るコツを教えながら、自然な流れで自社のシャンプーやトリートメントを紹介しているため、視聴者は広告を見ているという感覚がなく、役立つ情報として受け取ることができるのです。

さらに、この動画は髪の手入れ方法を学べる「教科書」のような役割も果たしています。
そのため、多くの人が後で見返すために保存したり、何度も見返したりする可能性が高くなるのです。

成功事例②Canva｜TikTok

https://www.tiktok.com/@canvajapan

グラフィックデザインツールのCanvaは、縦型ショート動画を使って独創的な宣伝を行っています。
1分弱のドラマ形式で、ツールの使い方や活用シーンを紹介し、2024年5月時点で約2,500万回再生という人気を集めています。

canvaの戦略の特徴は、若者向けのイメージがあるツールにもかかわらず、強面の社員をドラマの主役にしたこと。
かわいい色紙作りに奮闘する強面社員の姿は、意外性があって面白く、視聴者を最後まで飽きさせません。
製品の特徴を印象付けながら、ブランドイメージを記憶に残す効果的な方法として成功したと言えるでしょう。

成功事例③月の輪自動車教習所｜TikTok

https://www.tiktok.com/@datsurinsensei

月の輪自動車教習所は、教習所にまつわる「あるある」ネタを中心に、縦型ショート動画を投稿しています。
教習所という一見すると地味な業種でありながら、身近で共感できる内容を面白おかしく紹介することで、多くの人々の関心を引きつけることに成功しています。
TikTok進出の結果、創立60周年という節目の年に過去最高の売上高を達成し、今ではフォロワー数が15万人を超える人気アカウントになりました。

加えて、毎週金曜日にライブ配信を行うなど、フォロワーとの継続的なコミュニケーションにも力を入れています。
ブランドの認知度向上と売上増加につながった成功例と言えるでしょう。

縦型ショート動画の制作を外注することで、専門的な知識や技術を持たない企業でも、高品質な動画を効率的に制作することができます。
しかし、外注する際には、いくつかのメリットとデメリットを理解しておく必要があります。

外注のメリットとデメリット

外注のメリットとしては、まず、動画制作の専門知識や技術を持つプロに依頼できるため、高品質な動画が期待できる点が挙げられます。
また、自社で制作するよりも短期間で動画を完成させることができるため、迅速なコンテンツ発信が可能になります。
さらに、プロのアイデアを取り入れることで、自社では思いつかないようなクリエイティブな動画を制作できることも大きなメリットです。

一方で、デメリットとしては、外注費用がかかるため、予算との兼ね合いを考える必要がある点が挙げられます。
また、理想とする動画のイメージを正確に伝えることが難しく、完成した動画がイメージと異なる可能性もあります。
さらに、制作会社によって品質が異なるため、信頼できる業者を選ぶ必要があります。

高品質な制作業者の選び方

高品質な制作業者を選ぶためには、以下の点に注意しましょう。
まず、過去の制作実績やポートフォリオを参考に、どのような動画を制作しているかを確認します。

次に、費用対効果を考え、自社の予算に合った料金体系の業者を選びましょう。
さらに、問い合わせに対する対応や、打ち合わせの際のコミュニケーションがスムーズかどうかを確認することも大切です。

制作業者を選ぶ際は、複数の業者に見積もりを依頼し、比較検討するようにしましょう。
業者が無料相談を行っているのであれば、利用するのもどんな業者かを知るいい機会です。